公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

事例で防ぐ子どもの傷害 Injury Alert(傷害速報)

No.019 子守帯(スリング)内での心肺停止

タイトルNo. 19 子守帯(スリング)内での心肺停止
事例年齢:2か月 27日 性:女児
傷害の種類窒息
原因対象物スリング
臨床診断名心肺停止
医療費
発生状況
_発生場所
外出先の電車内
発生状況
_周囲の人・状況
母親がスリングを使用しながら,家族(父親と子ども 2人)と帰宅途中であった.スリングの
使用については,上の兄弟に使用していたが,本児に対しての使用は当日が初めてであった.
一枚布のスリングで,使用法としては児の顔を含め全身を覆うような使い方で,外からは児の
顔が見えない状態であった.スリングが市販のものか,自作のものかは不明である.
発生状況
_発生時刻
2009年 10月 18日 午後 4時 50分頃
発生状況
_発生時の詳しい様子と経緯
家族で遊びに行き,帰りの電車内で母親にスリングで抱っこされていた.スリングは,顔を含
めて全身を包み込むように使用していた.16時 20分頃,スリング内で児が入眠しているのを
母親が確認した.16時 45分に電車を降りた.16時 50分頃,体動がなくなり,母親は児が寝
たと認識した(呼吸の有無は確認しなかった).17時過ぎ,帰宅しスリングから児を降ろした
ところ,ぐったりしており呼吸をしていなかった.
治療経過と予後17時 09分に救急隊を要請し,救急隊からは ByStanderCPRを指示された.17時 17分,救
急隊が現場に到着した時のモニター上,心静止であった.CPRを継続されながら当院救命救
急センターに搬送された.来院時,心電図モニター上 asystole,体温は 32.9℃,両側瞳孔散大,
対光反射は認められなかった.体重は 5,340gで,理学所見上,体表に皮下出血ややけどの跡は
なく,首に圧迫痕は認められなかった.来院後の各種処置によって一時的に心拍は再開した
が,翌午前 1時 35分に死亡した.生まれてからの情報:妊娠分娩歴に異常はなく,在胎 41
週,出生体重は不明.1か月健診はとくに問題なく,これまでに呼吸状態の異常はみられてい
ない.母乳栄養である.家族構成では,本児は第 3子で,上に 7歳と 2歳の兄たちがいる.家
族歴に筋疾患はない.家族の喫煙状況は不明である.今回のエピソードが起こる 1~ 2週間前
のあいだに,児には喘鳴,嘔吐などはなく,家族員にもかぜ症候群の症状はみられていない.
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